めざすこと

株式会社 東研、創業の想い

東研は昭和48年1月16日 アトピー性皮膚炎と喘息のわが子に悩む高橋しづ(先代社長の母、私の姑です)が、子どもに安心して食べさせられる野菜を届けたいと強い想いを持ったのが始まりで、農薬を使わない野菜作りを指導していた初代社長大久保氏(故人)とともに会社を設立いたしました。

創業以来、有機認証にこだわり、生産者さんと共に販売を事業として取り組んでいます。

どうやったら農薬や化学肥料を使わずに、おいしい農産物ができるのか

東研が創業した当時の日本の有機農業は、現在のように環境や持続可能性が目的ではなく、「安全な農産物を食べたい」という消費者と、「危険な農薬を使いたくない」という生産者の思いが、市場を通さない産地直送という新しい流通を生み出すところから始まりました。

農薬や化学肥料を使った栽培方法を多くの人が研究し実践してきましたが、化学的に合成された農薬や化学肥料を使わずに栽培する技術は確立されていませんでした。創業社長大久保は、農薬や化学肥料を使わずにおいしくて安全な野菜を作るためにはどうしたらいいかを考えておりました。

石のミネラル分に着目、土壌改良資材ノーゲン誕生

そこで創業社長大久保は「野菜は土から養分を吸収して育つ、すべては土から始まる」という信念の素、石のミネラル分に着目しました。

地球が誕生した時、地球上には岩しかありませんでした。土壌は動物や植物などの有機物が堆積してでき上ったものです。岩石は地球のおおもと、岩石には土が必要とする豊富なミネラル(鉱物元素)が含まれているはずと考え、数多くの岩石を取り寄せ、実験を繰り返しついに緑輝岩の農産物に対する有効性を見つけ、緑輝岩を砕き土壌改良資材ノーゲン 農源(農業の源)と名付けました。

大久保はノーゲンを使用した「ミネラル農法」を指導し、多くの生産者さんに農薬や化学肥料に頼らない農法を普及してきました。

特に北海道では土壌中のミネラル分が春の融雪により土壌から流れ出すため、ミネラル分の補給のためノーゲンの有効性が高く、大久保は北海道でノーゲンの普及指導に力を入れました。

北海道で指導中の大久保と高橋しづ(1975年7月)

しかし大久保は若くして他界、ミネラル農法を指導できるものがいなくなり、ノーゲンは一部の生産者さんのみに施用されてきました。

有機農産物の価値の変化

有機農産物の販売に携わって50年。私たち東研は変わらず有機栽培の生産者様と有機野菜を求めるお客様をつなぐ仕事をしてきました。これからも人とつながり、人をつなげ、商品開発と販売面のプロフェッショナルとしての役割を担ってまいります。

くり返しになりますが、有機農業とは、農薬や化学肥料を使わずに自然との調和を大切にし、化学肥料や農薬に頼らず丁寧な土づくりをすることです。そしてそこに生息する多様な生きものとの共生を図り、環境保全や食の安全に配慮した農林水産業や加工方法です。

近年有機農産物の市場は拡大しており、新規に有機農業を始める生産者さんも増えています。それに伴い、有機栽培であることが価値であった時代から、よりおいしく、栄養価が高く、形のきれいな有機農産物が求められる時代に変わってきました。この時代でどうしてもジレンマになるのは野菜の質の問題です。

安心安全とおいしさを天秤にかけてはいけない

安心安全とおいしさを天秤にかけてはいけない
有機はおいしさのため、有機だからおいしくなくても仕方ない、はない。
と私たちは考えます。

しかし、化学的な資材が乏しかった時代に、病害虫や天候の影響などを最小限にし、安定して農産物を供給し、おいしい農産物を人々がおなかいっぱい食べられるようにと開発されたのが化学肥料と農薬です。その農薬と化学肥料を使用しない有機農業にはまだまだ質の問題があります。

私たち自身、どこまでを天候の影響や病害虫の影響とみなすことができるのか、許容できるのかという問いは、正直、常に問題意識として持っています。質の管理は、有機農産物を手に取って食べていただくため、つまり有機農業を発展させていくために大切なことだと思います。もちろん、私たちが提案する有機農業は均一な大きさで傷がないものだけを大量に流通させることではありません。

私たちが目指すところは、誠意と誇りをもって生産に取り組む生産者さんの有機野菜の個性を受容する価値感を社会に広げていくことです。

中部大学谷山研究所で効果を実証

この目的のために、ノーゲンが役に立つのではないかと思い過去のデータを調べました。ノーゲンについて弊社社内の実験や生産者による体験的なデータが多数あり有効性を確認しましたが、実証的な報告はありませんでした。

「ノーゲンは本当に効果があるのだろうか」効果がないものを、体験的データだけで販売してはいけない、土壌に有害な物質が含まれていないこと、農産物の発育に効果があることを確認したいと思い、当時中部大学応用生物学部環境生物科学科におられた谷山鉄郎先生に依頼し実験を行っていただきました。(谷山先生は弊社高橋和子の大学時代の恩師です。)
学生さんたちの真摯な実験の結果、ノーゲンは植物の生育をより良くする効果があることが分かりました

出典:土壌改良資材(ノーゲン)施用が作物の生育に与える影響
小坂 和行(*) 和田 俊夫 谷山 鉄郎
(中部大学 応用生物学研究科 応用生物学専攻)

生産者さんの想いや営みを伝えたい

私たちは有機野菜を求めるお客様と有機栽培生産者さんをつなぐ懸け橋として、商品だけではなく、生産者さんたちが何を考え誰がどこでどのように作ったかを伝えていきます。何を想い努力してきたか、それを伝えることが、食べることを豊かにしてくれると思うからです。

けれど「一生懸命作った」だけでは、食べてくださる方は増えません。有機農産物の販売には、おいしいこと、安定して収穫できることが必要です。あなたの農産物がよりおいしくなるよう、天然岩石100%の土壌改良資材ノーゲンをぜひおすすめします。

一緒に、有機農業の豊かな未来を作っていきましょう。

谷山鉄郎先生について

作物学を専門とし、四日市公害問題で大気汚染が作物に及ぼす影響や酸性雨が環境にもたらす影響、ゴルフ場の環境破壊、ゴルフ場に散布される農薬の環境への影響など境保全型農業を主に研究。三重大学生物資源学部を定年退官後、中部大学で教鞭をとられました。

※谷山先生は弊社社長 高橋和子の大学(三重大学農学部(現 生物資源学部))の恩師であられます。

中部大学応用生物学部環境生物学科について

地球温暖化、酸性雨、海洋汚染、砂漠化、環境ホルモン、生物多様性の消失など、環境にかかわる問題は山積みしています。身近な環境問題から地球環境まで損なわれた自然を再生し、人類をはじめと地球上の多様な生物が共存できる環境を作り続けることは21世紀の災害の課題の一つでしょう。

環境生物科学科ではこれらの問題を正面からとらえて科学的に解決していくために、「大気圏」「水圏」「土壌圏」のすべてを研究フィールドとして生物と環境のかかわりを深く学修し、これからの環境の創造に貢献する人物を要請することを目的としています。

例えば生物の多様性の保護に始まり、我々の活動で生じる環境に好ましくない物質群を有用な物質に返還する技術の開発、生物の力によるよりよい環境の創造、あるいは植物が提供してくれる資材、すなわちバイオマスの有効利用など、本学科ではこれらの問題に積極的に取り組んでいきます。
※中部大学 2007年大学案内より抜粋

最後に

  • 農薬や化学肥料を使うことが当たり前だった時代に、化学合成された資材を使わない農業技術を一人で研究し続けた弊社創業社長 故 大久保晴美氏
  • 大久保亡きあとも変わらずノーゲンを使い続けてくださる北海道おおとり農産様
  • 2007年、当時有機農業が一般的ではなかった時代にもかかわらず有機農業に関する研究をご快諾いただきました中部大学様
  • 研究に取り組んで下さった中部大学応用生物学部環境生物学科谷山鉄郎先生
  • 真摯に実験を行って下さった中部大学の学生のみなさま
  • ノーゲンの研究にあたり、中部大学さんとの打ち合わせに参加し、助言をくださり、研究を見守って下さった 株式会社マルタ 原様

以上の方々のご協力に心から感謝します。